パートナーとは

コンサルティングファームには、一般企業で言うところの「役員」が置かれていませんが、その代りパートナーと呼ばれる人が存在します。パートナーは個別の案件に深く関わらず、ファームの経営状態を注視して独自の仕事を担っています。例えば、クライアントから仕事を受注する、営業活動もその一つです。ファームはどんなに優秀なコンサルタントを揃えても、仕事を受注しなければ意味がありません。コンサルタントはコンサルタントとしての矜持、やりがいを重視して仕事に当たる一方、パートナーは冷静にファームの経営に当たるのです。そのバランスが、ファームの健全な経営を支えています。パートナーは既に十分なコンサルティング経験を積んだ人たちですから、外部から個人的な仕事が舞い込みます。例えば、セミナーでの講演や書籍の執筆を引き受けることもあります。もちろんファームのために自身の経験を活かしてアドバイスすることもあります。クライアントに対しては、自社に対して発注するとどのようなメリットがあるのかについて、様々なネットワークを通じて伝えます。ただ百戦錬磨のパートナーでも、素人であるクライアントの心を動かすのは至難の業です。そもそもコンサルタントが売るのは戦略ですから、目に見えるものではありません。その戦略が成功する保証もありません。クライアントとして二の足を踏むのは当然です。そこでパートナーは、出来る限り分かりやすく説明するために、エビデンスを集め、平易なロジックを駆使します。こうした交渉が出来るようになるには、かなりの修練が必要で、マネージャーの中でも限られた人しか候補者になり得ません。パートナーが話しを持ちかけるクライアントというのは、大抵大企業の役員です。相手も有識者で、グローバルな視点で質問します。それに答えるだけの知識が必要ですし、時には議論に付き合わなければなりません。大変な仕事ですが、受注できれば大きな喜びを感じると言われます。