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コンサルタントの働き方

コンサルタントと呼ばれる仕事は既に人口に膾炙していますが、彼らがオフィス内やクライアント先でどのように立ち振る舞っているのかはイメージし辛いと思います。ここではその内情について簡単に説明したいと思います。コンサルタントはプロジェクトごとに働き方が異なります。ただ大別すれば2通りの働き方があることに気付きます。一つはファームのオフィスの中にずっと閉じこもるパターンです。もちろん必要に応じてクライアント先に出掛けますが、基本的には自社の中で仕事を完結させます。もう一つはクライアント先で働くパターンです。つまりファームから派遣されて働くのです。クライアントのオフィス内に専用の部署を作ってもらい、そこで派遣社員のようにプロジェクトに当たることになります。前者のパターンは戦略立案系のファームで多く見られます。後者のパターンはインプリメンテーションまで受注するファームで見られるものです。インプリメンテーションとは、提案した戦略をクライアントが実行できない時、コンサルタントが代わりに請け負うものです。コンサルタントは戦略立案した後、実行部隊に変身するわけですから、クライアント先に常駐した方が、仕事が捗るのは当然です。派遣期間は様々ですが、プロジェクトが大きくなると、なかなか帰れないこともあります。日本国内の事情に限定すると、クライアントがメーカーである場合、派遣されて働くのも大変です。メーカーの社屋は都心から離れていることも多く、コンサルタントは単身赴任のように働くことを強いられます。このような働き方は世間のイメージと乖離しているでしょうが、大手のファームでは、コンサルタントが長期間帰社しないことも珍しくないのです。現場に赴くという、非常に古典的なスタイルもまた、コンサルティングファームを支えています。

不規則な労働

皆さんがコンサルタントと聞いてイメージするのは、都心の綺麗なオフィスでパソコンに向かって働いている姿なのかもしれません。しかし現実にはかなり泥臭い働き方をしているのがコンサルタントなのです。特に実行系のコンサルタントは、クライアント先に常駐することがよくあります。この場合、参加するプロジェクトが変わるたびに、新しいクライアント先に出向して働かなければなりません。クライアントのオフィスが地方にあれば、事実上の単身赴任状態を強いられることもあります。その上、ファームに戻って報告しなければならないことも起きますから、その度に飛行機で東京に帰るのです。実行部隊として活躍しているコンサルタントの中には、ファームにほとんど帰社していない人もいます。クライアント先に常駐するとなると、様々なことに気を遣わなければなりません。お客様の巣にお邪魔するわけですから、自由に行動することも出来ません。ある程度の規模の会社がクライアントである場合、大抵コンサルタント用の部屋や部署を作ってくれます。コンサルタントはそこで働くわけですが、労働時間のルーティン等は、クライアントの社員と同様になります。コンサルタントとクライアントが肩を並べて働くことで、クライアントは安心感を得られると言います。ですからファームのパートナー自ら派遣を提案するわけですが、コンサルタントとしてはかなり疲れる環境であることは間違いありません。ベテランのコンサルタントにもなると、ファームから離れて働ける方が望ましいと考える人もいますが、新人はそこまでの心境には至らないでしょう。

コンサルタントの休暇

不規則な労働を強いられることもあるコンサルタントにとって、休暇の取り方は非常に重要です。休むべき時はきちんと休まなければなりません。休暇を犠牲にしてしまうと、仕事のパフォーマンスも下がります。コンサルタントは非常に自由度の高い職業なので、休暇の取り方も個々人に任されているケースがほとんどです。例えば、土日を休日と定めているコンサルタントもいますし、何時以降は働かないと決めている人もいます。そのルールを破って不規則に働いてしまうと、同僚から不意に仕事を依頼されることもあります。そうなると、中々休めない環境を自分で作ってしまうことになります。周囲には、自分のワークスタイルをアピールすることが大切です。また、自分が関わりたいプロジェクトの種類を発信することも求められます。興味のないプロジェクトに回されると、仕事の効率も下がりかねません。それが休暇日数を減らす一因にもなりますから、積極的に自分の興味、関心をアピールすることが大事なのです。そうすれば、マネージャーは適材適所を徹底してくれます。

コンサルタントの教育

業界の別を問わず、会社では新人に研修を施します。それはコンサルティングファームでも同様です。導入研修はもちろんのこと、各種プログラムが準備されています。研修の実際は各ファームに潜入しなければ分かりませんが、グローバル化が進んでいるファームでは、海外で研修するのも珍しくありません。入社早々に海外でトレーニングを受けるのは大変ですが、それだけ優秀だと認められている証です。研修期間も様々ですが、長期に及ぶファームはほとんどありません。座学もあれば、ケーススタディもあるため、基本的な知識とプロジェクトへの関わり方は、研修期間中に習得できる手筈になっています。ただコンサルティングはOJTで習得するものですから、実際に業務に携わってからが本番だと考えるべきでしょう。実務のスキルは先輩の傍で見ながら身に付ける他ないのです。ですから新入社員は能動的に動かなければなりません。受動的な態度ではいつまで経っても学び取ることが出来ません。積極的にプロジェクトに参加し、分からないことがあればその都度質問するようにします。先輩コンサルタントとのコミュニケーションは、その意味で非常に重要です。コミュニケーション能力のない人は、どんなに論理力に優れていても、コンサルタントとして大成することはありません。先輩との積極的なコミュニケーションは単に仕事を教えてもらうだけでなく、自分の希望を伝える手段にもなり得ます。コンサルタントは自分が関わりたいプロジェクトに参加することで、パフォーマンスを発揮し易くなります。ですから常日頃から自分の興味、関心をアピールすることで、自分が参加するプロジェクトの内容が、より自分に合ったものになる可能性が高まり、延いては自分の仕事が認められる可能性も高まるのです。自分に合ったプロジェクトに参加できる喜びは何物にも代えられません。コンサルタントが何故コミュニケーション能力を問われるのかがお分かりになるでしょう。さて、ファームによっては特殊な新人研修を施しているところもあるので、そちらをご紹介することにしましょう。あるファームでは、海外オフィスとの交換プログラムを実施しています。日本から派遣された新人のコンサルタントが、現地で半年間ほど学ぶのです。また別のファームでは、パートナーと呼ばれる人が研修に当たっています。通常パートナーは実務に当たることは無いのですが、研修期間中に限り、教育しているのです。パートナーは世界中から集まり、現地の生の声、価値観を吐露してくれます。

アウトソーシングの実際

コンサルティングファームは、提案した戦略の実行を受託することがあります。例えば「総務部をそのままアウトソーシングすれば経費を節約できる」との戦略を提案したとしましょう。クライアントとしてはアウトソーシング先を見つけられれば良いのですが、短期間で良いパートナーを探すのは不可能です。そこでコンサルティングファーム自身に依頼するという選択肢が生まれるのです。もちろんコンサルタントとしても、それを見越して戦略を練るため、助言専門のコンサルタントと実行専門のコンサルタントとが、密に連携することは欠かせません。コンサルティングファームがここまでクライアントとの関係を強固にするケースが一般的になると、本来のコンサルティングの意味が薄れていることは否めません。ただ市場が評価するコンサルティング形態は、あくまでもクライアントの評価に委ねられていますから、あまり従来の存在意義に拘る必要もないでしょう。コンサルティングのあり方も多様化した方が、日本社会にとって健全なのではないでしょうか。